1・毛髪の構造と働き の続き その2

2・タンパク質とは?
髪は何からできている?
髪は主にタンパク質でできていますが、このタンパク質を分解していくと、アミノ酸という小さな単位になります。このアミノ酸が2〜100個以上集まるとPPT(ポリペプチド)になります。また、アミノ酸が100個以上集まるとタンパク質になります。
人間の体を作るアミノ酸はたった20種類ですが、その組み合わせ方、手のつなぎ方にによって、約10万種類のタンパク質ができます。
人間の身体を作るタンパク質は大きく分けると2つのタイプに分かれます。
髪は爪や肌の角質層と同じ「ケラチンタンパク」という硬い種類のタンパク質でできています。一方、肌や内蔵は「コラーゲンタンパク」という軟らかい種類のタンパク質です。
毛髪を構成しているケラチンタンパクは18種類のアミノ酸からなっています。

代表的なタンパク質の種類と性質
種類 性質
ケラチン
毛、爪、羽毛、肌の角質層に多い。繊維状タンパク。構造が緻密で個体の保護をする。シスチンを多量に含む(構成アミノ酸の1/10〜1/5)。グルタミン酸、セリン、プロリンも多い。毛髪内部のケラチンも部位により構造が異なる。
硬くてもろい性質。
コラーゲン
皮膚、歯茎、血管、角膜に多い。繊維状タンパク。柔軟で各組織の形態の保護をする。ヒトの場合、身体の全タンパクの1/3を占める(最も多い)。構成アミノ酸の1/3がグリシン、ヒドロキシプロリン(コラーゲン特有)、プロリンも多い。
柔らかく保湿性が高い性質。
シルク
絹由来、繊維状タンパク。中性アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン)が多い、吸湿性が少なく緻密な皮膜をつくる。
サラサラ感が高い性質。
小麦 小麦由来、繊維状タンパク。酸性アミノ酸(グルタミン酸、スパラギン酸)が多い。保湿性が高く、毛髪・皮膚へのもイス茶ライジング効果が大きい。しなやかな皮膜性があり、ツヤ・手触り感が高い性質。
大豆 大豆由来、植物性タンパク。酸性アミノ酸(グルタミン酸、スパラギン酸)が多く含まれるため、毛髪への吸着性がよく、高い保湿性を示します。柔らかな皮膜性があり、毛髪を軟らかく、クシ通り性を良く仕上げます。


各タンパク質のアミノ酸組成
    毛髪 卵殻膜
ケラチン
PPT
低シスチン
タイプ
ケラチン
PPT
低シスチン
タイプ
ケラチン
PPT
低シスチン
タイプ
コラーゲン
PPT
コムギ
PPT
ダイズ
PPT
  グリシン 7.3 6.0 11.8 8.4 8.5 33.8 6.8 9.2
  アラニン 4.0 4.1 8.4 6.0 6.2 11.6 4.2 7.0
  バリン 4.7 4.7 3.3 6.2 7.0 3.0 2.7 5.4
  ロイシン 8.4 5.8 10.3 7.2 5.2 2.7 6.5 8.0
  イソロイシン 2.2 3.8 1.5 3.0 1.9 1.3 1.6 3.6
  フェニルアラニン 2.7 2.3 4.1 1.6 1.5 1.3 4.5 3.4
中性 プロリン 3.7 7.0 4.3 7.4 10.4 11.5 14.4 7.4
アミノ酸 ヒドロキシプロリン - 0.9 - - - 10.6 - -
  スレオニン 7.2 5.8 2.9 7.6 6.0 1.8 2.1 1.3
  セリン 7.6 3.2 8.1 11.6 15.8 3.1 6.1 3.0
  チロシン 3.1 2.2 4.1 2.2 0.9 0.1 1.5 1.4
  メチオニン 1.0 4.4 0.4 0.7 0.6 0.3 1.4 1.3
  トリプトファン 0.7 1.6 - - - - - -
  シスチン 16.0 15.8 1.8 8.7 12.3 - 2.2 0.5
  システイン酸 - - 5.4 0.9 1.2 - - -
塩基性 アルギニン 9.6 3.7 5.1 6.3 4.7 3.6 0.1 2.0
アミノ酸 ヒスチジン 0.9 2.3 0.5 1.1 1.8 0.4 2.2 3.3
  リジン 2.6 5.1 1.8 3.0 2.7 2.5 1.1 4.4
酸性 ヒドロキシリジン - 0.1 - - - 0.2 - -
アミノ酸 アスパラギン酸 6.0 8.1 9.8 6.1 3.6 4.6 3.0 15.5
  グルタミン酸 12.3 13.3 16.4 12.0 9.7 7.6 39.6 24.1
※ケラチンタンパクはシスチンを大量に含んでおり、硬いという性質はこのシスチンに由来します。

3・毛髪の4つの結合
毛髪の結合とパーマ剤のプロセスには密接な関係があり、パーマ処理において毛髪の4つの結合のうち3つを切断し、そしてこの3つの結合をしっかりと戻すことが重要です。
1・毛髪の4つの結合
まず、毛髪の4つの結合を理解しておきましょう。
  1.  水素結合
    水に濡れると切断し、乾いた状態で再結合します。
  2.  イオン結合
    −(マイナス)イオンと、+(プラス)イオンの結合です。健康な髪の状態は、pHが弱酸性(4.5〜5.5)だとイオン結合がしっかりしている状態(=等電帯)です。髪のpHが等電帯からはずれると、イオン結合が切断されます。
    ※ −イオンになるアミノ酸ーーグルタミン酸、アスパラギン酸(酸性アミノ酸)
    +イオンになるアミノ酸ーーアルギニン、リジン(塩基性アミノ酸)
  3.  シスチン(SーS)結合
    システイン2分子が結合したものです。1剤の還元剤によって切断され、2剤の酸化剤で再結合してSーS結合に戻ります。
  4.  ペプチド結合
    アミノ酸の基本的な結合です。過度のアルカリ剤、過酸化水素剤で加水分解されて切断されます。
パーマ剤はこれらの4つの結合のうち、3つの結合を切断、再結合させ、目的のウェーブを作ることになります、美容技術の中で最も効率的に髪を軟化させることができるのがパーマ剤です。
  1. 水素結合ーー薬剤塗布で髪が濡れると切断。
  2. イオン結合ーパーマ剤がアルカリ性であるため髪のpHもアルカリ性に傾くことによって切断。
  3. SーS結合ーー1剤の還元作用によって切断。
※ すべてのシスチン結合が切られる訳ではなく、強いパーマ剤でもケラチンタンパクのシスチン結合の20%しか実際には切断されていません。

2剤の酸化剤で戻せるのはシスチン(SーS)結合だけです。pHを等電帯(pH4.5〜5.5)にし、髪をドライすることで、イオン結合と水素結合を元に戻します。
ウェーブはこの3つの結合でつくられているので、パーマ処理においては、3つの結合をしっかり戻すことが重要です。コレが不十分だと、タンパク質の軟化、間充物質の溶出などによりウェーブの固定化ができず、ウェーブが取れやすくなります。そればかりでなく、髪の強度低下、水分低下にもつながります。

毛髪の結合への影響
水素結合 髪をウェットにすると結びつきが切れ、ドライにするとまたつながる。カット時に髪を濡らすのは水素結合が切れて髪が柔らかくなるため。
※ 関係するもの 寝ぐせ、ブロー
イオン結合 髪が傷んでpHバランスが崩れると、結びつきが切れてしまう。pH4.5〜5.5(等電帯)は髪のイオン結合がとても安定した状態になる。結合をつなげるためにはこのpHに戻すことが必要。
髪には酸性アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸など)が多く含まれているため、髪の等電帯は弱酸性のpH4.5〜5.5になる。
※ 関係するもの パーマ、ヘアカラー、弱酸性シャンプー
SーS結合 この結合を利用してパーマがかかる。1剤(還元剤)で結びつき切れて2剤(酸化剤)でつなげる。
※ 関係するもの パーマ
SーS結合が切れると髪は柔らかくなる。これが軟化といわれる状態。2剤でしっかり結合しないと特有の臭いがする。
ペプチド結合 髪の命のようなつながり。この結合が切れてしまうと二度と戻らない。
※ 関係するもの ハイダメージ
断毛や枝毛の原因がペプチド結合の切断。


まだまだつづきまーす☆

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